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データで見る「日本のAI出遅れ」の正体 ── 令和7年情報通信白書から

はじめに ── 「日本はAIで遅れている」は本当か?

「日本はAIで遅れている」——このフレーズ、ニュースや記事で何度も目にしたことがあるのではないでしょうか。でも、具体的に何がどれくらい遅れているのか、データで説明できる方は少ないかもしれません。

総務省が公表した令和7年版 情報通信白書には、AIに関する各国比較の最新データが豊富に掲載されています。今回はこの白書のデータを紐解きながら、日本のAI活用の「現在地」を3つの視点で見ていきます。

  1. AI活力ランキング ── 日本は10カ国中何位なのか
  2. 生成AI利用率 ── 1年でどれだけ変わったのか
  3. 利用サービスの種類 ── 日本人はAIを「何に」使っているのか

1. AI活力ランキング ── 日本は10カ国中9位

スタンフォード大学HAI(Human-Centered Artificial Intelligence)が毎年公表している「Global AI Vibrancy Tool」は、世界各国のAI活力を多角的に評価するランキングです。令和7年版の情報通信白書ではこのデータが引用されており、日本の位置が浮き彫りになっています。

結果は、日本は10カ国中9位。米国が圧倒的な1位で、中国、英国が続きます。

上位国の特徴

順位 特徴
1位 米国 R&D・Economy・Infrastructureすべてで圧倒的1位。AI開発の「震源地」
2位 中国 R&D・Economyが突出。国家戦略で猛追するが、Diversityや公開性に課題
3位 英国 R&D・Education・Policy and Governanceがバランス良く高い。規制と活用の両立モデル
4位 インド 人口ボーナスとIT人材でEconomy・R&Dが急伸中
7位 韓国 Infrastructureが強み。5Gインフラと半導体で存在感

日本が9位に沈む理由

日本のスコアを項目別に見ると、弱点が明確です。

一方で、Infrastructure(インフラ)Policy(政策)は比較的健闘しています。つまり日本は「環境は整いつつあるが、技術を作る力も使う力も不足している」状態です。

日本が9位にいる最大の理由は「AI人材の不足」と「企業の活用スピードの遅さ」。逆に言えば、今AIを学んで使える人材は、それだけで希少価値が高いということです。

2. 生成AI利用率 ── 日本は1年で約3倍に急伸

次に、「実際にどれくらいの人が生成AIを使っているのか」を見てみましょう。総務省の調査では、4カ国(日本・米国・ドイツ・中国)の生成AI利用率を2年連続で比較しています。

2023年 2024年 伸び
日本 9.1% 26.7% +17.6pt(約3倍)
米国 46.3% 68.8% +22.5pt
ドイツ 34.6% 59.2% +24.6pt
中国 56.3% 81.2% +24.9pt

日本は絶対値では4カ国中最下位ですが、伸び率は約3倍と最も大きな成長を見せています。9.1%から26.7%へ——まだ4人に1人ですが、確実に広がりつつあります。

年代別に見ると面白い傾向が

日本国内の年代別データを見ると、興味深い傾向が浮かび上がります。

20代の利用率が高い理由は「若いからITに強い」ではなく、大学教育でAIに触れる環境が整ってきたから。逆に言えば、学ぶ環境さえあれば年齢に関係なく使えるようになります。

3. 利用サービスの種類 ── 日本は「テキスト生成一極集中」

最後に、「何に使っているか」を見てみましょう。ここに日本の最も大きな課題が隠れています。

カテゴリ 日本 米国
テキスト生成 24.0% 54.8% 約2.3倍
コード生成 5.3% 34.2% 約6.5倍
画像生成 7.5% 30.0% 約4倍
音声・音楽生成 3〜4% 28〜29% 約7倍

日本ではテキスト生成(ChatGPT等)が24.0%で突出しており、利用者のほぼ全員がこれを使っています。一方で画像生成7.5%、コード生成5.3%、音声・音楽生成は3〜4%台と、テキスト以外はほとんど使われていません

米国を見ると、テキスト生成54.8%に加えて、コード生成34.2%、画像生成・その他が各30.0%、音楽生成29.0%、音声生成28.1%と、どのカテゴリもまんべんなく高い

最も差が大きいのはコード生成(6.5倍)と音声・音楽生成(約7倍)です。GitHub Copilotなどのコード補助AIは米国ではもはや「当たり前のツール」ですが、日本ではまだ一部のエンジニアにしか浸透していません。

日本は「ChatGPTで文章を作る」段階に留まり、AIの多様な能力を活かしきれていない。テキスト以外のAI活用——画像認識、データ分析、コード補助——に踏み出すことが次のステップです。

まとめ ── 「出遅れ」の正体と、そこにある伸びしろ

令和7年版の情報通信白書から見えてきた日本のAI活用の現在地を整理すると、以下のようになります。

視点 現状 伸びしろ
AI活力ランキング 10カ国中9位 インフラ・政策は健闘。人材育成と企業活用がカギ
利用率 26.7%(4カ国中最下位) 1年で3倍に急伸。学ぶ環境があれば年齢を問わず伸びる
活用の幅 テキスト生成に一極集中 画像・コード・音声など多様な活用に踏み出す余地が大きい

「出遅れている」のは事実です。しかしデータが示しているのは、「やらない」のではなく「やり方を知らない」という構造です。利用率の伸び率が約3倍という数字は、「きっかけさえあれば一気に広がるポテンシャル」を物語っています。

私が企業向けAI研修で最も大切にしているのは、まさにこの「最初の一歩」です。ChatGPTで文章を作るだけでなく、画像認識やデータ分析、業務フローの自動化まで——AIの多様な能力を体験してもらうこと。それが「出遅れ」を「伸びしろ」に変える第一歩だと考えています。

御社のAI活用も、まずは「知って、触ってみる」ところから始めてみませんか。

出典:総務省 令和7年版 情報通信白書 / Stanford University HAI「Global AI Vibrancy Tool」(2024) / 総務省(2025)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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