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「あのファイルどこいったっけ?」を解決する全文検索ツール改善記

はじめに — 「あのファイル、どこいったっけ?」

「あのファイル、どこいったっけ?」——職場でこのセリフ、一日に何回聞くでしょうか。

先日、ある企業の担当者の方と話していたとき、まさにこの話題になりました。共有フォルダに何年分もの資料が溜まっていて、「確かこの前の見積書に似たような案件があったはず……」と思っても、フォルダを一つ一つ開いて探すしかない。Windowsの検索はファイル名しか引っかからないし、中身まで調べるには時間がかかりすぎる。

そこで私が以前作ったのが、ブラウザ上で動く全文検索ツールです。フォルダを選択するとExcel、PDF、テキストファイル——何でも中身を読んで、キーワードにヒットした行を一覧表示してくれます。HTMLとJavaScriptだけで動くシンプルなものですが、これだけで「中身に何が書いてあるか」で資料を探せるようになりました。

ところがしばらく使ってもらったところ、こんな声が出てきました。

「中身で検索できるのはありがたいけど、ファイル名でもサッと探せたらもっと便利なんだけどなぁ」

なるほど、確かにそうです。「あのファイルどこいったっけ?」のうち半分くらいは、ファイル名の一部は覚えているけどフォルダの場所がわからないというケースではないでしょうか。

改善その1: ファイル名検索の追加

もともとの全文検索ツールは「ファイルの中身」をキーワードで検索するものでした。これに加えて、「ファイル名」でも検索できるモードを追加しました。

使い方はシンプルです。検索ボックスの横に「ファイル名で検索」ボタンを一つ追加しただけ。ファイル名の一部——たとえば「見積」「2025」「報告書」——を入力すれば、フォルダ内のすべてのファイルから名前がマッチするものを瞬時にリストアップしてくれます。

全文検索はファイルの中身を読み込むため少し時間がかかりますが、ファイル名検索はファイルを開かずに名前だけで判定するので非常に高速。数百ファイルあるフォルダでも一瞬で結果が出ます。

この2つのモードが揃ったことで、ユーザーは状況に応じて使い分けられるようになりました。

こんなとき 使うモード
ファイル名は覚えているけど場所がわからない ファイル名検索(高速)
中身に「○○」と書いてあるファイルを探したい 全文検索(網羅的)

改善その2: Excelを「橋渡し役」にする

ファイル名検索が加わって便利になったのですが、もう一つ課題がありました。検索結果からファイルを直接開けないのです。

これはツールのバグではなく、ブラウザのセキュリティ仕様です。Webブラウザは悪意のあるサイトからパソコン内のファイルを守るために、file:///(ローカルファイルへのリンク)をクリックで開けないようにしています。もしクリック一つでパソコン内のファイルが開けてしまったら、大きなセキュリティリスクですから、これは当然の仕組みです。

でも、せっかく目的のファイルを見つけたのに、そこからエクスプローラーを開いてフォルダをたどって……では検索の意味が半減します。

そこで見つけた解決策が、Excelファイルに検索結果を書き出して、ファイル名にハイパーリンクを付けるという方法でした。Excelのハイパーリンクはブラウザとは違い、file:///プロトコルでローカルファイルを問題なく開けます。つまり、Excelを経由すればワンクリックでファイルが開けるのです。

仕組みの概要

  1. 検索結果をExcelに出力 — ファイル名、パス、ヒット箇所、内容を列に整理
  2. ファイル名にハイパーリンクを設定file:///C:/... 形式で絶対パスを埋め込む
  3. Excelからワンクリックでファイルを開ける

一つだけ越えたハードル

実装で一つだけ技術的な課題がありました。ブラウザのFile API(ファイルを読み込む仕組み)は、セキュリティ上の理由でファイルの絶対パスを返してくれないのです。Excelのハイパーリンクには絶対パスが必要なのに、取得できるのは 共有フォルダ/営業/見積書.xlsx のような相対パスだけ。

そこで採用したのが、「フォルダの完全パスを1回だけ入力してもらう」方式です。フォルダを選択した後に、エクスプローラーのアドレスバーからパスをコピー&ペーストしてもらう。あとはツール側で相対パスと結合して、自動的に絶対パスを生成します。

1回だけ手作業が発生しますが、その後は何十件、何百件の検索結果すべてにワンクリックでアクセスできる。十分なトレードオフではないでしょうか。

2つの改善がもたらした変化

ファイル名検索とExcelリンク出力——どちらも技術的にはそれほど大がかりなものではありません。追加したコードも数十行程度です。しかし、ユーザーの作業フローへのインパクトは想像以上でした。

作業の流れ
以前 「あのファイルどこだっけ?」 → フォルダを一つずつ開く → 見つからない → 諦める or 同僚に聞く
全文検索
導入後
キーワードで検索 → 見つかる → でもファイルの場所をメモしてエクスプローラーで探す
今回の
改善後
ファイル名 or 中身で検索 → Excel保存 → クリックで即開く

特に、検索結果が10件、20件とある場合の作業効率は劇的に向上します。一覧をExcelで手元に残せるので、「後で見返したい」というニーズにも対応できるようになりました。

まとめ — 「あと一歩」の改善を積み重ねる

冒頭の担当者の方にこの改善を見せたところ、「これこれ、これが欲しかったんです!」と喜んでいただけました。「あのファイルどこいったっけ?」と思ってから目的のファイルを開くまで、もうフォルダをたどる必要はありません。

業務改善の世界では、「80%の機能より、最後の20%の使い勝手」が満足度を大きく左右することがあります。全文検索という機能自体は完成していても、「名前でサッと探す」「見つけたファイルをすぐ開く」という最後のアクションがスムーズでなければ、ユーザーは不便を感じ続けます。

今回の教訓をまとめると:

  1. ユーザーの声を聞いて機能を拡張する — 「名前でも探したい」という素朴なニーズを見逃さない
  2. 制約は「仕様」であって「バグ」ではない — ブラウザの制限を理解した上で、別の経路(Excel)で解決する
  3. 作業フロー全体を見る — 「検索できる」だけでなく「検索結果を使って次のアクションに移れるか」まで考える

社内ツールの改善は、大規模なシステム導入と違って、こうした「ちょっとした工夫」の積み重ねです。皆さんの職場にも、「あと一歩」で便利になるツールが眠っているかもしれません。

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